個人事業主

介護士としてフリーランスや業務委託で働くことは、近年注目されている働き方の一つです。自分のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能であり、収入アップやスキルの向上も期待できます。しかし、自己管理や営業活動、税務処理など、自己責任が伴う点も多いため、慎重な準備と計画が必要です。

以下に、フリーランス介護士として働く方法やメリット・デメリットについて詳しく解説します。


フリーランス介護士とは?

フリーランス介護士とは、特定の施設や事業所に雇用されるのではなく、個人事業主として介護サービスを提供する働き方です。

業務委託契約を結び、介護施設や利用者と直接契約を行い、必要な介護サービスを提供します。この働き方では、勤務時間や場所、報酬などを自分で決定できる自由度の高さが特徴です。


フリーランス介護士として働く方法


1. 介護施設との業務委託契約

どういう働き方?

介護施設や有料老人ホーム、デイサービスなどと「業務委託契約」を結び、決められた業務を一定の時間だけ請け負う働き方です。これは「雇用」ではなく「契約」になるため、社会保険や労災などは自己管理になります。

仕事の探し方

  • 介護求人サイトやマッチングサービス:たとえば「カイテク」や「カイゴジョブ」などでは、業務委託向けの案件も掲載されています。
  • スキルシェア系のプラットフォーム:介護職に特化したクラウドソーシングのような仕組みも登場しています。

ポイント

  • 契約内容をしっかり確認する(業務範囲・報酬・時間・保険の有無)
  • 単発〜定期まで、自分の都合に合わせて案件を選べる
  • 経験や資格があると高単価案件に入りやすい

向いている人

  • 施設経験がある
  • 忙しい職場でも要領よく働ける
  • 勤務時間や場所を柔軟に選びたい

2. 利用者との直接契約(訪問介護スタイル)

どういう働き方?

高齢者やその家族と直接契約を結び、自宅に訪問して介護・生活支援・話し相手・買い物代行などを提供します。いわゆる「保険外サービス」もOK。

仕事の取り方

  • 地域のケアマネジャーや病院からの紹介
  • 自分でチラシや名刺を配る
  • SNS・ホームページで集客

フリーランスだからこそ、サービス内容や料金を自分で決められます(例:1時間3,000円など)。

ポイント

  • 柔軟なサービス提供が可能(例:家事+介護)
  • トラブルを避けるために契約書は必須
  • 個人情報や安全面の管理も重要

向いている人

  • 人とのコミュニケーションが得意
  • じっくり寄り添う介護がしたい
  • 自分で営業・広報ができる

3. 単発バイトアプリの活用

どういう働き方?

「1日だけ」「夜勤だけ」などの単発求人に応募して働くスタイル。フリーランスに近い感覚で、自分の空いた日だけ仕事を入れられるのが特徴。

有名なアプリ・サービス

  • カイテク:介護職専用の単発バイトマッチングアプリ
  • Ucare(ユーケア)
  • ジョブメドレー スポット

ポイント

  • 面接不要、アプリから応募して即勤務できる
  • 同じ施設で信頼がつけばリピート依頼もあり
  • 賃金は即日払い〜週払い対応の案件も多い

向いている人

  • 副業・スキマ時間で働きたい
  • いろんな施設を見てみたい
  • 短期間でお金を稼ぎたい

フリーランス介護士のメリット


1. 自由な働き方ができる

フリーランスの最大の魅力は「スケジュールの自由度」。たとえば、

  • 「朝は子どもを保育園に送ってから働く」
  • 「週3日だけ集中して働き、残りの時間は資格取得の勉強に使う」
  • 「介護が必要な家族がいるので、午後だけの仕事を選ぶ」

こんな風に、自分の生活や家庭の事情に合わせて、無理のない働き方ができます。

特に、介護職はシフト勤務が多く、働き方の自由度が低いのが現状。その点、フリーランスであれば「働く日」「時間」「場所」を自分で決められるため、心身のゆとりが生まれます。


2. 収入アップの可能性がある

施設勤務では、月給が固定で、昇給も数年単位が普通。でも、フリーランスの場合は「時給3,000円」「夜勤1回2万円」といった高単価の案件も存在します。

例えば、

  • 介護福祉士+実務経験5年以上 ⇒ 時給3,000円
  • 夜勤1回(16時間) ⇒ 2万5,000円+交通費

など、スキルや条件に応じて単価交渉が可能。利用者との直接契約であれば、自分で価格設定ができます。

もちろん、収入を増やすには営業活動や実績作りも必要ですが、努力がダイレクトに報酬に反映されるのは、やりがいにつながります。


3. 利用者に寄り添ったサービスができる

施設では「決まった時間内に、決められたことをやる」が基本。でもフリーランスなら、

  • 「今日は掃除と食事作り中心にしてほしい」
  • 「お話し相手として1時間ゆっくりしてもらえたら安心」
  • 「病院の付き添いもお願いしたい」

といった一人ひとりのニーズに対応したケアが可能です。

また、介護保険では対応できない「趣味の付き添い」「ペットの世話」「外出支援」など、自由度の高いサービス提供ができるのも大きな魅力です。

フリーランス介護士のデメリット


1. 収入が不安定になりやすい

フリーランスは「毎月安定して給料が入る」という保証がありません。

たとえば…

  • 施設との契約が急になくなる
  • 利用者の体調悪化や入院で予定がキャンセル
  • 新しい案件が見つからず1ヶ月無収入…

ということもあり得ます。

特にスタート直後は「実績がない」「信頼が少ない」ため、案件が取りにくいことも。最初は副業として始めて様子を見るのもおすすめです。


2. 全て自分で管理する必要がある

会社勤めであれば、シフト作成・給料計算・年末調整などは会社がやってくれますが、フリーランスはすべて自分で行います。

たとえば…

  • 確定申告(年1回、収入・経費を申告)
  • 請求書の発行(施設や利用者に送付)
  • スケジュール管理(ダブルブッキング防止)

などの「事務作業」が意外と大変です。ただし、会計ソフトや請求書作成アプリを活用することで、効率よく管理できます。


3. トラブル対応を自分でしなければならない

万が一のトラブル――例えば、

  • 利用者との金銭トラブル
  • ケア中の転倒事故
  • 物品の破損や紛失

などが起きた場合、自分で責任を持って対応しなければなりません。

そのためには、

  • 損害賠償保険(業務中の事故に備える)
  • 契約書の締結(あいまいな依頼はNG)
  • 記録の保存(何をやったか証拠として)

が必要です。

備えがあれば慌てることなく対応できます。保険料は月数百円~と安価なので、加入を強くおすすめします。

了解です!では「フリーランス介護士に向いている人」に加えて、「向いていない人」についても具体的な理由を交えて詳しく解説します。現場のリアルを知っている介護士さんが納得しやすいように、イメージしやすいシーンを取り入れながら説明していきます。

フリーランス介護士に向いている人

1. 自己管理が得意な人

フリーランスは「自由=全部自分次第」なので、体調・スケジュール・業務内容などを自分で管理できないと仕事が続きません。

たとえば…

  • 「この日は休みを取りたいから、前後で仕事を調整しよう」
  • 「午前は訪問介護、午後は請求書の処理」
  • 「体調が微妙なときは無理せず1件だけにしよう」

こんな感じで“自分を客観的に見られる”人はフリーランス向きです。


2. 営業や人脈作りができる人

フリーランスの仕事は「紹介」や「口コミ」から来ることも多いです。

たとえば、

  • 「前に来てもらった○○さん、またお願いできませんか?」
  • 「友達の親が在宅介護始めたんだけど紹介してもいい?」

こうしたチャンスを活かすには、第一印象・信頼感・コミュニケーション力がカギ。

また、地元のケアマネや医療機関との関係づくりも重要です。「あの人なら安心して任せられる」と思ってもらえるような振る舞いが必要です。


3. 現場に柔軟に対応できる人

現場ごとにルールも環境も違います。「施設によって使う記録用紙が違う」「訪問先の家は段差が多い」など、毎回の変化に戸惑う人には向いていません。

でも、

  • 「マニュアルがなくても、状況を見て動ける」
  • 「相手が望むケアを察する力がある」
  • 「困っている職員に自然に手を差し伸べられる」

こういう人は、フリーランスとして重宝されます。


4. トラブルにも冷静に対処できる人

たとえば…

  • 「利用者が急に転倒してしまった」
  • 「契約内容と違う仕事を頼まれた」
  • 「報酬の支払いが遅れている」

こんなとき、「感情的にならずに冷静に話せる」「状況を記録しておく」「解決策を冷静に模索できる」人はフリーランスに向いています。


フリーランス介護士に向いていない人

1. 決まったスケジュールや収入を重視する人

「毎月固定給じゃないと不安」「急な予定変更は苦手」という人にとって、フリーランスの働き方はストレスになります。

実際に「月20万円くらい稼げると思ってたけど、思ったより仕事が取れない…」というケースもあります。


2. 人と接するのが苦手な人

介護は人との信頼関係がベースです。利用者やその家族、ケアマネとのやり取りなど、コミュニケーションが多い仕事。

「営業っぽいことは絶対無理」「知らない人と話すのが苦痛」という人は、利用者との直接契約や案件取得が難しくなるかもしれません。


3. 変化が苦手で、環境の違いに敏感な人

フリーランスは毎回違う現場で仕事をすることも少なくありません。環境やルール、求められるスキルも様々。

「いつもの手順じゃないと混乱する」「知らない場所や人が苦手」という方には、落ち着いた環境の正社員やパートの方が安心して働ける可能性が高いです。


4. トラブルやミスに弱く、パニックになりやすい人

フリーランスには上司や先輩がいません。何か問題が起きた時、まずは自分で判断・対処する必要があります。

「責任を負うのが怖い」「誰かに相談しないと動けない」という方には、大きな負担になることがあります。


5. 書類作業や数字管理がとにかく苦手な人

確定申告、請求書、業務報告…意外と「パソコンや書類作業」が多いのがフリーランス。書類管理が苦手な人は、サポートサービスを活用する必要があります。

まとめ

フリーランスや業務委託で介護士として働くことは、自分のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能であり、収入アップやスキルの向上も期待できます。​しかし、自己管理や営業活動、税務処理など、自己責任が伴う点も多いため、慎重な準備と計画が必要です。​自分に合った働き方を見つけるためには、メリットとデメリットを理解し、必要なスキルや知識を身につけることが重要です。